「ありなしの道」の生き物を楽しむ

どんな道もいつか誰かがつくったものーー。 数年前の大雨で山道が倒木だらけになって、ことごとく閉鎖になったとき、そんな当然のことを思い出しました。 山道だけではなく、なんの変哲もない道でさえ、町内の造園業者や土木作業員の方々が夏に草刈りをして、みんなが気持ちよく通れるように整備されています。

ありなしの道

地元NPOとボランティアによって開通した「ありなしの道」

そんなわけで、今回歩いたのは、黒川桜の森と野間の大けやきを結ぶ「ありなしの道」です。能勢電鉄の妙見口駅から東郷へ徒歩で来るには、この道を通るのが便利です。 じつはこの道は、2015年にNPO法人「大きな樹」を中心とした能勢のボランティアの人たちが倒木を切ったり隅に避けたりして整備したことで開通させた道。誰でもハイキングが楽しめるように、斜面には手すりがわりのロープを渡すなど、手作り感も満載です。

ありなしの道

さて、この道、一見すると何の変哲もない山道のようですが、季節を通して様々な生き物に溢れています。 春先の光景を、ほんの少しだけご紹介します。

コバノミツバツツジ

コバノミツバツツジ
ありなしの道で一番最初に咲くツツジで、春の訪れを知らせてくれる。山頂の休憩ポイントのシンボルツリーにもなっている。このツツジのあと、赤花や色に近いピンクのヤマツツジが咲き始める

ヤマザクラ

ヤマザクラ
様々な木々に覆われたこの道では、植栽されたようなどっしりとしたサクラではなく、ひょろっと風流なサクラが見られる。

キランソウ

キランソウ
太陽がよく当たるところで、地面にへばりつくように美しい花を咲かせる。別名は、地獄のかまのふた、と、おどろおどろしい。

ツルリンドウ

ツルリンドウ
ツルをのばし、やがて夏には薄紫色のリンドウのような花が咲く。

シュンラン

シュンラン
春蘭。園芸好きのおじいちゃんなんかが園芸品種をコレクションしている。

スミレ
道の脇の斜面によく咲いている。この道だけでを見ても、様々な花色、花型、葉性のスミレがある。

ハクサンハタザオ

ハクサンハタザオ
ありなしの道の能勢側の出口にあり、春先に小さな白い花が群生して咲く。大根の花に似ている。

ネコノメソウ

ネコノメソウの仲間
果実が開いた様子が猫の目に似ているゆえにこの名前がついている。じつは日本固有種。

テンナンショウ

テンナンショウの仲間
肌色のにょきっとした芽が出ていたら、それはテンナンショウの仲間。どんな花が咲くかはお楽しみだが、東郷では薄い緑色のテンナンショウが多い。

シロバナタンポポ

シロバナタンポポ
ありなしの道を抜け、野間の大けやきに向かう川沿いの道に群生している。見つけてみてください。

ベニシダ

ベニシダ(?)
新芽が赤や黄色の色彩豊かなシダ。花だけでなく、シダもよくみると面白い。

アセビ

アセビ
スズランのような花も美しいが、花が終わったあとの赤くて艶のある新芽も美しい。

カラスザンショウ

カラスザンショウ
夏には白い花が咲き、ミツバチにとっては貴重な夏の蜜源になる。その蜜は少しビターで大人の味。ゴツゴツした幹も迫力がある。

鹿の角のあと

鹿の角のあと?
人だけではなく、鹿も通る様子。

倒木のはらわた
東郷ではよく見る「根っこの裏側」。この根っこが地面を掴んでくれているおかげで、山道が崩れずに済んでいる。

様々な花や草木に彩られたありなしの道。紹介しきれない植物や、夏にしか見られないものもたくさんあります。 それだけではなく、東郷の人たちが整備した倒木には、サルノコシカケの仲間や、苔が生え、道に風情を添えています。

サルノコシカケの仲間
朽ちた木や、隅に避けられた倒木には、カワラタケなどサルノコシカケの仲間が着き、苔むし、やがて「山の風景」にとけこんでいく。

ありなしの道 ありなしの道

里山の恵みと、東郷の人たちの仕事が混ざり合った道。 車やバスで来るだけでなく、「ありなしの道」を歩いて東郷へ来ていただくと、また違った楽しい1日になるかもしれません。。

ありなしの道

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