この地に暮らす人、繋がりがある人。
東郷と関わりを持つ「村民(villageピープル)」
が選んだ、お気に入りの場所
この場所は、60年以上前は人と牛が通るだけの山道で、てっぺんに建つ「館」のところまで棚田がありました。田の数が多く、未だにその枚数を知りません。 私が幼き頃は、山からわき出す1本の清水を上の田から流し込み、順次田に水を張っていきました。祖母や母親たちは、朝にお弁当と鎌、鍬、そして鎌を研ぐための砥石を持って、この場所で夕方まで仕事。 わが家は、この辺りではトラクタを導入するのが一番遅く、牛で耕していました。田植え機やコンバインも一番最後でした。私も学校から帰ってきたら、秋には収穫した米袋をかついで山道を降りるなど、子どもであろうが「一人工」として扱われ、昔ながらの厳しい農作業を手伝いました。 そんな、つらい経験もしたこの棚田ですが、それだけに「思い出の場所」。ここを素晴らしい場所にして残そうと「あけびの里」と名付けて整備し、棚田のてっぺんには地元の仲間と一緒に「あけびの館」という休憩小屋を築きました。館へと続く小径は、ヒノキが立ち並び、「冬のソナタ」のワンシーンのよう。 水田だった棚田は、今はほとんどをクリやウメなどをつくる果樹園に変更。中腹に残る田のアゼからは、丸山城、地黄城、能勢家の墓所がある清普寺が一望できます。 小川にはサワガニやドジョウ、タニシ、カワニナ他多くの生き物が生息。以前はウナギもおりました。また山菜も多く、ヤマブキ、ウド、ワラビ、イタドリなどがあります。 周囲が暗いので星もきれいによく見えます。その反面、冬は寒いのですが、雪の景色は最高。雪が棚田を伝う谷風に乗って、舞い上がってきます。
地黄で約30aの栗園(約130本)を営む。直売所「けやきの里」でピザをつくっていることも。