この地に暮らす人、繋がりがある人。
東郷と関わりを持つ「村民(villageピープル)」
が選んだ、お気に入りの場所

谷 充郎 さんのお気に入り
『冷原池』

夏休みのある日、ため池で写生をしていて学んだこと

冷原池(へえばらいけ)は、日照り続きの干害にならないように祖先が作ったため池のひとつです。東郷地区、赤穂田(あこだ)一帯の田んぼの水源です。 子どもの頃、夏休みにはよく行きました。涼しいからです。ため池を渡ってくる風の心地よさは格別です。水に入りたくなるのですが、父親から「ため池はすり鉢状になっているので、絶対に泳いだらダメ。足はつかないし、水はとても冷たいから足が動かなくなる」と脅されていました。

 

小学校4年生の夏休み、学校から写生の宿題が出ていたので、水面(みなも)に映る山を描いてみようと冷原池に行きました。堤に腰を下ろして1人描き始めました。 水彩画は大の苦手で、よい色が出せませんでした。全く何を描いているのだか分からなくなってしまいました。

「あーあ、ダメだ。こりゃ。」と思って、もう片づけることにしました。そして、絵の具を落とそうとパレットを池につけたときです。みるみるうちにため池の水の色が変わってしまったのです。山を反射してきれいな緑だったのが、絵の具の白や黒や赤でなんとも不快な色に水の色が変わっていくのです。 「ワッワッワッワッワッ・・・どうしよう」。 しかし、手のつけようがありません。 写生はできないし、池を汚してしまうし、しょぼくれて家に帰って母に話すと「アホやね。しゃあないやん」と言ってくれて、やっと救われた思いになりました。 小さなミスがとんでもない事に発展することを学んだ日でした。

土も水も空気も、きれいにして人間に与えてくれるのは大自然です。数えきれない多種多様な生物がひたすら浄化しています。唯一その自然の働きに背いて、汚すのは人間です。自然を大切にしましょう。

谷 充郎

豊能町と豊中市の小中学校で教師をしていました。町おこしのNPO法人「大きな樹」の発足に合わせて57歳で早期退職しました。今はMOA自然農法を学びながら、8反の稲作と3反の野菜等栽培をしています。

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