この地に暮らす人、繋がりがある人。
東郷と関わりを持つ「村民(villageピープル)」
が選んだ、お気に入りの場所

いりえ るみ さんのお気に入り
『野間トンネル』

「ステキな能勢」への入り口 野間峠の頂上にあるトンネル

ーーみなさんは、能勢というと、どのあたりを思い浮かべますか? 私はときどき「けやき資料館」の窓口をお手伝いしています。 すると、来館されるお客様と話をするなかで「能勢」が曖昧に捉えられていると感じることがあります。 能勢は、「大阪」であったり、「兵庫」であったり、「京都」であったり……。 隣接する兵庫と京都の境界がそもそも曖昧なうえ、地図上の境界線を意識されている人は多くないのだと思います。 ただ、ここをくぐると「能勢に入った」と、明確に意識する場所が私にはあります。 それは「野間街道」と書かれた古いトンネル。 国道423号線から能勢方面に抜ける野間峠の頂上にある、なんにもない普通のトンネル。 でも、そこが私の境界線。 豊能町で生まれ育った私は、資料館の仕事を手伝い始める2年ほど前まで、野間トンネルから野間の大けやき付近の能勢しか詳しく知りませんでした。方向音痴も手伝って、能勢の地理をまったくというほどわかっていなかったのです。そのため、かつての私のなかの「能勢」は、野間峠付近だけ、といっても過言ではありませんでした。 車でゴトゴトゆっくり山の上にたどり着きジェットコースターが下降する瞬間のようにひゅっとトンネルを通り抜けます。ありきたりであるけれど、「トンネルを抜けるとそこは 」という『雪国』の一節が頭に浮かびます。 トンネル内からすっと向こう側に目をやると、よくある山の風景が見えたり、時折、そこにしんしんと降る雪の様子なんかが、スローモーションに映ったり……。 そういった少し不思議な感覚が「能勢に入った」という気持ちにさせてくれます。 そして、トンネルを抜けた先のくねくねとした峠道は、季節ごとにサクラや、フジ、モミジなど、季節の草花を見せてくれます。鳥の飛ぶ様子や、鹿がにゅっと顔を出すのが目に映るときもあります。峠道をゆっくりおりると広がる能勢の里山、野間の大けやき、そして、能勢のお店や人々。 普通の山の、普通のトンネルなのだけれど、私にとっては「ステキな能勢」に繋がる境界線なのです。 みなさんも、ご自身にとっての特別な能勢への入り口を見つけて、能勢のステキを探しにきてください。

いりえ るみ

- 自然と、ろうそくと。- をコンセプトにろうそくを作っている人。 お寺で灯されていたろうそくを再利用して 和の空間に溶け込むような作品を製作しています。 Instagram→

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