大原路を歩く

明治まで摂丹国境だった大原

能勢東郷の6村の中でも最も高低差があり、風景が変化に富み、眺望も楽しめるのが野間大原です。明治まで摂津国(現在の大阪府北中部)と丹波国(現在の亀岡・園部を含む京都府中部と兵庫県北東部)の国境であり、標高は380m、晴れた日には川辺・有馬の山並みを目にすることもできます。

美しい棚田の風景に癒される

大原は南面に流れる扇状地であり、その土地特性を活かした棚田が広がっています。能勢の棚田といえば西能勢の長谷が有名(日本の棚田百選)ですが、大原の棚田も美しいです。写真は八月の終わり頃のものですが、黄色く色づいてきた田んぼがグラデーションのようになって印象的でした。

年月を経ても安定している石積みの技術に驚く

高低差のある地形を開墾して田畑や住居が造られている大原では、土留めも兼ねた見事な石積みの擁壁を見ることができます。技術と経験が必要とされる石積みは、積み方が悪いと時間経過とともに崩れていきます。苔むして何百年も崩れていないような石壁を見ると、この地に石積みの名工がいたのではと想像してしまいます。

農村風景の中に突如として現れる天文台

大阪や東京の都心で天体望遠鏡やバードウオッチング専門機材を販売している協栄産業株式会社が昭和60年より、野間大原の自社工場で天体ドームの製造を開始しました。大原天文台は1988年に協栄産業が開設した天文台。口径40cmの巨大望遠鏡が格納されているドームと田畑のミスマッチがなかなか良い感じです。

村の人々が大切にしてきた鎮守社

天文台を背にして最後に向かったのは来見社という小さな神社。能勢に所縁があるとされる安徳天皇が祀られています。安徳天皇といえば、悲運にくれた幼帝であり、壇ノ浦の合戦後に逃げ延びてきた能勢で亡くなったという伝説があります。「安徳さんと口ずさめば平家物語が胸の内をよぎり、幼帝を思う時無常観にむせぶのである」この想いが大原の里人の心根に響き、村の老若こぞって社を守り清めてきたそうです。実際に訪れてみても、掃除が行き届いて清められた良い場所でした。

遠くの景色を眺めながらの帰り路も楽しい

来見社は大原の一番高いところにあるので、帰りはひたすら下るだけ。遠くに見える山々や家並みに心が安らぎます。のんびりと下山してください。

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